2021年、読んでよかったと思う10の本

 2021年、転職して一年過ごすなかで、読んでおいてよかったと思う本を10冊挙げるとしたら、以下の本がすぐに思い浮かぶ。

伊藤修一郎『政策リサーチ入門 仮説検証による問題解決の技法』東京大学出版(※増補版が出るにあたり、旧版のリンクがなくなったようだ)
www.utp.or.jp

秋吉貴雄・伊藤修一郎・北山俊哉『公共政策学の基礎 第3版』有斐閣
www.yuhikaku.co.jp

曽我謙悟『日本の地方政府 1700自治体の実態と課題』中公新書
www.chuko.co.jp

辻陽『日本の地方議会 都市のジレンマ、消滅危機の町村』中公新書
www.chuko.co.jp

中北浩爾『自民党―一強の実像』中公新書
www.chuko.co.jp

櫻澤誠『沖縄現代史 米国統治、本土復帰から「オール沖縄」まで』中公新書
www.chuko.co.jp

岸政彦・打越正行・上原健太郎・上間陽子『地元を生きる 沖縄的共同性の社会学
www.nakanishiya.co.jp

宮本太郎『福祉政治-- 日本の生活保障とデモクラシー』有斐閣insight
www.yuhikaku.co.jp

宮本太郎『貧困・介護・育児の政治 ベーシックアセットの福祉国家へ』朝日新聞出版
publications.asahi.com

砂原庸介『新築がお好きですか? 日本における住宅と政治』ミネルヴァ書房
https://www.minervashobo.co.jp/book/b370259.html

 専門家が丹念に書いた本は内容が非常に誠実で、読んでいるほうも背筋が伸びる。まあ、寝ころびながら読むこともあるけど。

余力とは自分が誰かの助けになる力

 5月に絶不調に陥り、そこで感じたもやもやをうまく言語化できないまま、7月が来た。あえて言えば、「ああ、私は生かされてきたんだな」「私たちはとても便利な社会に生きてきたが、このまま何もしなければ、少しずつ不便が生活を取り囲むだろう」という感触だ。ごみの収集日が減って街は少しずつ臭うようになり、役所や病院で待つ時間はますます長くなり、そもそも病院がなくなり、保育園に子どもを入れられなくなり、道路は穴だらけで、街灯は暗いままで、水道は値上がりし、商品棚には物が並ばず、頼んだものは届かず、電話をかけてもいつもつながらず、仕事を休もうにも職場は火の車で、賃金が上がる見込みは少なく、何かを躊躇うことが日々積み重なっていく。そういう小さな不便だ。何かが劇的に変わるわけじゃない。自分を自分で支えられなくなったときに、自分を支えてくれていた多くのものが、限界に近付いていることに気づく。倒れそうになって寄りかかった柱に、ひびが入っているのが目につく。

 かつてなら(それがいつかも分からないが)、自分のしていることが誰かの助けになっているはずだった。社会に余力があったと言ってもいい。余力とは、自分が誰かの助けになる力のこと。今では自分で自分をどうにかしろと暗に言われ続けた結果、悲しい哉、かしこくも適応した私たちはすっかり自分のことで手いっぱいで余力を失ってしまった。今日の社会に余力が乏しいことは毎年の大雨の被害で、数年に一度は起こる大規模な地震で、そして今回の新型感染症で明らかになってきている。自分がどうにかなっている時でさえ誰かの助けになるのが難しいのに、まして自分ではどうにもならない状況で誰かの助けになろうとするのは更に難しい。

 「自分で自分をどうにかしろ」という規範を受け入れた場合、誰かの助けになることは二つの点で違反となる。ひとつは、他者が自らどうにかしようとするのを「阻害」することになる点。もうひとつは、他者の助けになることで自分に割くリソースが減る点。「自分で自分をどうにかしろ」を忠実に守ろうとすると、自分に関わりのないことはしないという行動をとる。湯浅誠が「自己責任論」が言いたいのは「私には関係ない」ということだ、と解釈したのを改めて思い起こしたい。

 便利とは自分が頑張らずとも望みが叶うことで、不便とは自分が頑張らなければ望みが叶わないことを言う。誰かのしていることが自分の助けにもなっているから、自分だけで頑張らずとも、自分の望みを叶えられた。誰かのしていることがその人の助けにしかならないなら、自分で頑張らなければ、自分の望みは叶えられない。誰かの助けになれば、その人に余力ができて、その人がまた誰かの助けになって、そうして余力が増えていく。

 もしまだこれからも世の中が便利になってほしいなら、なにもかも自分でどうにかするのはやめて、誰かの助けを借りて自分の余力を増やして、自分が誰かの助けになることから始めよう。知らないうちに誰かが助かっている世の中を便利な社会と言う。誰かを助けようと頑張らなくてもいい。自分に余力ができれば、つまり自分が誰かの助けになる力がつけば、知らず知らずのうちにどこかで誰かが助かっている。

 それでも何かをしないではいられないなら、まずは自分が日々助かっていることに敬意を表明するところからでいい。冒頭で挙げた不便の例は、誰かによって助かっていた「ありがたい」ことでもある。こんなにも自分のことで手いっぱいで必死な世の中で、それでもなお誰かの助けになっているなら、当たり前のことではなく「あり難い」こととして受け止めよう。

この世界の半分

どこまでいっても半分までしか理解できない。

けっして理解できなければ見えもしない余地がある。

分かり合えることはなく、ただ分かったつもりでいられる一時がある。

たとえ錯覚や誤解であっても、その一瞬は確かだと信じられる。

私たちが本当の意味で分かり合えないという厳然たる事実は、私たちは誰もがいずれ死ぬという事実と変わらない。

たまさか今日明日に死ぬことはないだろうと思えているだけで、本当に今日明日死なないとは限らないのだ。

だが、だからといって途方に暮れる必要はない。

その事実、見ないでいられた現実に直面したからと言って終わり“End”ではない。

その実、始まり“Start”に立ち戻り、行きつき、落ち着いただけである。

私たちが分かり合えず、やがて死ぬのは今に始まったことではない。

ずっとそうだったのだ。

それに気づかないでいられたにすぎず、終わったようでいて始まりに戻ってきただけなのだ。

だから私たちはもう一度始められる。

厳然たる事実を忘れられる愚かさから。

私たちは分かり合うことができ、今日明日に突然死んでしまうことはないと夢を見ながら。

夢から醒めては現実に“戻る”ことを繰り返しながら。

そうやって始まりと終わりの円環のなかで、私たちは生きている。

沖縄における労働に関する論文

CiNii 論文 -  沖縄県の「過剰人口化」現象における労働と生活 https://ci.nii.ac.jp/naid/110000500659 #CiNii
CiNii 論文 -  日本復帰後の沖縄における労働組合組織率の低下要因--全国との比較を含めて https://ci.nii.ac.jp/naid/110000979245 #CiNii
CiNii 論文 -  沖縄青年の労働観と就労動向--その概観 https://ci.nii.ac.jp/naid/120005617981 #CiNii
CiNii 論文 -  沖縄における組織労働者の労使関係観--意識調査の結果にみる (沖縄国際大学創立10周年記念) -- (沖縄産業経済特集) https://ci.nii.ac.jp/naid/110000979188 #CiNii
CiNii 論文 -  経済扶助と就業機会--復帰後の沖縄県労働市場 https://ci.nii.ac.jp/naid/40002880457 #CiNii
→ https://www.jcer.or.jp/academic_journal/jer/detail210.html#2
CiNii 論文 -  米軍統治下の沖縄における労働委員会の権限と機能(1) https://ci.nii.ac.jp/naid/120006619983 #CiNii
CiNii 論文 -  沖縄における労働雇用問題に関する研究 : 高失業率問題の解決を目指して https://ci.nii.ac.jp/naid/120006422429 #CiNii
CiNii 論文 -  沖縄県労働市場の動向と課題 : 深刻な若年者の構造的失業と人手不足 https://ci.nii.ac.jp/naid/40020430628 #CiNii
→ 立法と調査 363号(平成27年4月15日):参議院
CiNii 論文 -  労働生産性から見た沖縄県産業の特性分析 (嘉手川繁三教授・野崎四郎教授退官記念号) https://ci.nii.ac.jp/naid/120006728587 #CiNii
CiNii 論文 -  2・4ゼネストと総合労働布令 : 沖縄保守勢力・全軍労の動向を中心に https://ci.nii.ac.jp/naid/120006003217 #CiNii
CiNii 論文 -  沖縄県の地域発展に関わる現状と課題 : 社会的排除、貧困に関わる対策も含めて (沖縄における雇用・労働問題の地域特性(1年次)) https://ci.nii.ac.jp/naid/40019959549 #CiNii
→ 沖縄国際大学学術成果リポジトリ
CiNii 論文 -  過剰移動--戦後沖縄の労働力移動における政治的要因 https://ci.nii.ac.jp/naid/110008721759 #CiNii
CiNii 論文 -  戦後沖縄の労働力流出と経済的要因--「過剰移動」論へのアプローチ https://ci.nii.ac.jp/naid/120006007033 #CiNii
労働政策研究報告書No.102 地方圏における雇用創出の研究|労働政策研究・研修機構(JILPT)
CiNii 論文 -  沖縄の労働政策と労働法--世界の労働法と労使関係-1- https://ci.nii.ac.jp/naid/40003872621 #CiNii
CiNii 論文 -  占領期における社会福祉政策の位置づけ--衛生統計・社会福祉統計調査の実施に着目して https://ci.nii.ac.jp/naid/40007364592 #CiNii
CiNii 論文 -  米軍占領下の沖縄における社会福祉政策 https://ci.nii.ac.jp/naid/40016307169 #CiNii
CiNii 論文 -  沖縄における雇用失業問題の特質と改善施策についての研究報告〔含 資料〕 (沖縄の雇用問題<特集>) https://ci.nii.ac.jp/naid/40002237749 #CiNii

2010年からの10年を本とともに。

2010年から2019年までの10年間で私を形づくったとも言える本の列挙。目の粗い選別。

2010年「スウェーデン


2011年「貧困」


2012年「シギサワカヤ


2013年「社会保障



2014年「哲学」


2015年「福祉哲学」


2016年「日本型福祉」


2017年「ドイツ」


2018年「政治理論」


2019年「世界」

2019年度に読んだもの

本は私にとって精神安定剤なので、そのとき何を読んでいたかで精神状態が推し量れる。
こうして振り返ると、計44冊で2019年度は思っていた以上に本を読んでいなかったんだな。

2019年4月


2019年5月


2019年6月


2019年7月


2019年8月


2019年9月


2019年10月


2019年11月


2019年12月


2020年1月


2020年2月


2020年3月

2018年度に読んだもの

読んだ漫画の記録が多かったため計83冊の読書記録。

2018年4月


2018年5月


2018年6月


2018年7月


2018年8月


2018年9月


2018年10月


2018年11月


2018年12月


2019年1月


2019年2月


2019年3月