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12月に提出する修論のアウトライン(3月27日版)を掲載

 同様の関心やテーマで研究している院生が身近にいないので、研究内容を公開することで専攻が同じか近い人を探します。公表することに気後れはありますが、もとよりこのブログの趣旨は「頭の中の見取り図」なので、完成されているものより未完成なものを載せています。こうすることで、人が読むに堪えうるものになるよう鍛えていこうという心づもりです。人に読んでもらうことを内面化するには、まだあまりにも私は自分の頭の中にしまいこみすぎています。

最終更新日:2017年3月27日
提出締め切り:2017年12月25日
作成者:高階英樹(人文社会科学研究科公共研究専攻博士前期課程2年)

修論アウトライン

1. 研究の対象、手法

A. 書くこと

i. 問い
 福祉国家が国民の生活を保障する責任を負うべきことは確かだが、しかしだからといって何もかも国家が担うべきであることにはならない。むしろすべてを公的福祉に委ねることは、際限ない規律化を許すことになり、かえって危険である。「国家による平等」を求めれば、それだけ「国家からの自由」を手放すことになるのだ。では、国家から距離をとって、個人の幸福と人権の擁護を可能にするためには何が必要であるか。それは社会福祉であり、民間による福祉活動である。国家や地方自治体から独立して活動する団体や組織があってこそ、個人を焦点化することができるからだ。
ii. 答え
 「福祉国家」と「福祉社会」は、公共の福祉と人権との関係をめぐってつねに緊張関係にあるものの、それは両者が両立しえないことを意味するものではない。国民の生活保障と個人の人権擁護をともに実現するためには両者の併存が必要不可欠なのである。
iii. 論拠
 このことを、国家と社会との関係を常に問い続けてきたドイツの社会政策の歴史から明らかにする。同時に、日本がそのドイツから影響を受けながらも国家と社会との区別を曖昧なままにしてきたことを、日本の社会政策の歴史から明らかにする。国家と社会という、個人に不可避の影響を与える存在の把握なしに、個人の幸福や人権の擁護について問うことはできないからである。

B. 研究の対象

i. 福祉の概念史
ii. 社会政策史

C. 研究の手法

i. 史実に基づいて用語の意味を限定
ii. 政治経済学(権力資源動員論、非難回避の政治、階級交叉連合)
iii. 政策過程論(政策主体の意図と政策自体の効果)

D. 研究の目的

i. 社会保障社会保険社会福祉の峻別(リスク管理の点では共通)
ii. 福祉と社会福祉との峻別(公的福祉と私的福祉の整理)
iii. 公的福祉の正当性確立(再分配の正当化)

2. 福祉の概念史

A. ヨーロッパの福祉概念の歴史

3. ドイツ社会政策史

A. その福祉概念と結びついたドイツ社会政策の歴史
B. Gemeinwohl und Polizei

4. 日本社会政策史

A. そのドイツ社会政策から影響を受けた日本社会政策の歴史
B. 「社会政策」に関与した内務省官僚
C. 「社会政策」に影響を与えた国家学と有機体論

5. 秩序形成としての社会政策

A. 両社会政策から析出される秩序形成的側面

6. 福祉の思想と政策における自立と貧困

A. 福祉に関する思想に裏打ちされた政策主体の意図と目的

i. どの対象を、どういう経緯で、何を目的に選別したか

7. 福祉をめぐる国家―社会―個人の関係

A. 福祉国家と社会国家
B. 国家からの自由と国家による平等
C. 個人の幸福と人権擁護